イントロダクション

SOY CMSとは

SOY CMSとは、日本情報化農業研究所(現:株式会社Brassica)が2008年3月に公開した国産の無料で使えるオープンソースのコンテンツマネジメントシステム(CMS)です。

このCMSは、個人のブログから企業のコーポレートサイト、行政機関のサイトやネットショップ、オウンドメディアまで、さまざまなWebサイトを構築することができます。

CMSのなかには一つの目的(例えばショップサイト)のために存在するものもありますが、SOY CMSはそれらとは対照的にさまざまな場面で使えるようになっているため、「汎用CMS」といわれています。

標準機能だけでも一般的なコーポレートサイトのようサイトやブログサイトを構築・管理することができますが、プラグインやSOY App(SOY CMS内で動作するWebアプリ)を利用することで、お問い合わせフォームやネットショップを運営することができるようになります。

SOY CMSの特徴

コンテンツとデザインを可能な限り分離

SOY CMSはデザインと動作、サイト構成とコンテンツをそれぞれ可能な限り分離しています。

デザインとはいわゆる一般的なサイトデザインのことであり、動作とはCMSの動作のことであり、サイト構成とはWebサイトの構成、コンテンツとはブログなどの記事やショッピングサイトの商品情報などのことです。

これらを分離することで、CMSの機能に制限されることなくウェブサイトのデザインやコンテンツを自由に作成することが可能となります。

HTML+CSSそのままのテンプレート

SOY CMSでは、テンプレートが「HTML+CSSそのまま」のため、テンプレートファイルをWebサイト制作ツールやブラウザで開いたり、編集したりすることができます。

既存の他のCMSのWebサイトであっても、HTMLが分かれば書き換えたいところに少しタグを入れるだけでテンプレートとして動作します。

最近ではスマートフォンからのアクセスが多いということもあるでしょう。その場合でも、SOYCMSではテンプレートとコンテンツが切り離されているため、テンプレートをレスポンシブなものに変更することで、これまでのコンテンツを生かしながら、スマートフォンに対応させることも出来ます。

SOY Appを使ったアプリケーションの追加

SOY CMSには、SOY Appという拡張機能があります。これらを使って本格的なネットショップを構築したり、お問い合わせフォームの作成、メールマガジンの発行等をすることが可能です。

ネットショップとホームページ両方の運用を同一の管理画面でシームレスに行う事ができ、顧客にはメールマガジンを発行するといったマーケティング活動が出来ます。

SOY CMSのメリット

Webサイトの構築が簡単

SOY CMSでは、データベースにSQLite版とMySQL版の2種類が用意されています。

MySQL版はサーバーで使える数が決まっているものもあり、それ以上サイトを作ることが出来なかったりしますが、SQLite版であればサーバーの容量がある限りどれだけでもサイトやブログを作ることが出来ます。

さらに、SQLite版を使うことで面倒なデータベースの設定が不要になるので、インストールからサイトの構築まで非常に簡単に行うことが出来ます。

SOY CMSは「マルチサイト・マルチ管理者」のシステムとなっています。

サーバーにSOY CMSを1つインストールするだけで、複数のサイトを構築・運営することが出来ます。

また、複数の管理者をそれぞれのサイトに割り当てることが出来、それぞれの管理者が記事を作成・更新できるようになっています。

拡張性が高くて手軽

例えばお問い合わせフォームを設置したいというときに、通常であればCGIやPHPというものを勉強する必要がありますが、SOY CMSの場合はそれが不要です。

SOY AppというSOY CMS専用のアプリケーションがありますので、それらをSOY CMSに追加することでお問い合わせフォームのあるサイトを完成させることが出来ます。

ほかにも、プラグインという便利な拡張機能がSOY CMS本体に豊富に用意されているので、それらを使ってサイトやブログを魅力的なものにすることが出来ます。

サイトの管理・運用が楽に

SOY CMSでは、サイトを運営・管理する管理者と、記事を投稿するだけの記事管理者に分けることが出来ます。

SOY CMSの管理画面は以下のようになっており、サイト管理者にとっても、わかりやすく親しみやすいものとなっています。

それほどたくさんのメニューがあるわけではないので、学習のハードルは低いのではないかと思います。

また、記事を投稿する記事管理者であれば、PC初心者であっでも少し学習すれば、記事の投稿などを行うことが出来ます。

記事投稿の管理画面は、以下のようなわかりやすいインターフェースで設計されています。

Wordで文章を書く感覚でページの作成や更新を行うことが出来るので、直感的に文章の追加や編集、画像の挿入が可能です。そのため、HTMLの知識は不要です。

知識・スキルがあればオリジナルデザインのテーマを作成できる

SOY CMSは、テンプレートが「HTML+CSSそのまま」であるため、HTML+CSSが分かれば自分好みのオリジナルテーマを作ることが出来ます。

そのテーマをそのままSOY CMSに適用すれば、世界で唯一の自分だけのオリジナルサイトの完成です。

もちろんPHPやJavaScriptなどのプログラミング言語が分かれば、さらに細かなカスタマイズをすることが可能です。

ですが、そこまで凝ったことをしようとしなければ、テーマ作成にPHPやJavaScriptなどのプログラミングの知識は不要です。

バックアップが容易(SQLite版)

サイトやブログを運営していると、めったに無いと思いますが、サーバーに障害がおこりデータが無くなってしまう可能性があります。

また、外部からのハッキングによりデータが破壊されてしまうかもしれません。

そんなことはそう滅多に起こらないと思いますが、セキュリティ対策はしておいたほうがいいでしょう。

とくにそれまで蓄積されてきた記事がなくなってしまったら大変です。

そこでこまめにバックアップをとるよう心がけてください。

SOY CMSでのバックアップは、ファイルをダウンロードするだけですので非常に簡単です。

SOY CMSのウイークポイント

HTMLファイルのみサイトより表示スピードが遅い

HTMLファイルのみサイトは、ページごとにHTMLのコードを書いたファイルをサーバーに置いてあるだけなので、ページの表示スピードが早いです。

それに比べてSOY CMSは、ページの表示ごとにデータベースからページを構成するパーツをその都度呼び出してページを構築するため、HTMLファイルに比べると表示スピードがどうしても遅くなってしまいます。

しかし、サイトを高速化するプラグインを入れたり、SOY CMSのバージョンアップを行うことで以前よりも早くなってきています。

情報が少ない

SOY CMSの情報があるところといえば、公式サイトにあるもの(それも古いですが)と、SOY CMSの元開発者である齋藤様が運営しているサイトにあるぐらいです。

あとはSOY CMSを利用している一部のユーザーやサイト制作者のもの(こちらも古いです)がちらほらあるだけ。

質問や知りたいことはフォーラムを活用するしかないのが現状なのですが、そのフォーラムも公式のものはなくなってしまいました。

なので、実質的に公式サイトとSOY CMSの元開発者である齋藤様のサイトのみとなっています。

テーマが少ない

これはSOY CMSの利点がそのまま欠点にもなっています。

SOY CMSはHTML+CSSそのままのテンプレートなので、どんなサイトのテーマでも(特殊なことをしていなければ)SOY CMSのテーマに出来てしまいます。

そのためにSOY CMS専用のテーマというものがなかなか作られない原因にもなっているのではないかと思われます。

また、テーマのインストール自体に関する解説がなかったため、どのようにHTMLファイルをテーマ化してSOY CMSにインストールすればいいかわからないということも、テーマが少なかった原因だと思われます。

現時点(2022年10月)で、インストール可能で配布されているSOY CMSのテーマはほぼ0です。

以前はフォーラムにもいくつかテーマが存在していましたが、そのフォーラムもなくなってしまったため、SOY CMS本体に組み込まれているブログテーマが3つとコーポレートサイト用テーマ1つが全てです。

以下がSOY CMSに組み込まれているブログテーマです。

デフォルトのブログテーマ

SOY CMSで最初にブログを作成したときに表示されるテーマ。

ブログがブームだった頃にわりとよく見た3カラムとなっています。

デフォルトのブログテーマ

SOY CMSブログテンプレート

SOY Shopのマニュアルサイトに使われています。


bootstrap 4 standard blog template

bootstrap4を使ったブログテンプレート。



公式サイトでの開発が停滞

2020年12月29日のSOY Shopのバージョンアップを最後に、公式サイトからのアナウンスが一切なくなってしまいました。

公式サイトの最新バージョンでは、今どきのサーバーに組み込まれているPHPなどの最新バージョンに対応できておらず、セキュリティ面でも不安があります。

また、SOY CMSユーザーからさまざまな不具合や要望があっても、全く応えられていない状況です。

そのため、以前はSOY CMSの開発元に在籍しており、現在は開発元を離れ、独自にSOY CMSの開発・メンテナンスを行っている齋藤様の運営するサイトで最新のSOY CMSを手に入れることができるようになっています。

SOY CMSで作れるサイトの種類

SOY CMSは汎用CMSと言われており、大抵のサイトはSOY CMSで作れてしまいます。

そこで、どのような種類のサイトを作れるか紹介したいと思います。

ブログ

ブログはSOY CMSの本体機能で構築可能です。さらにプラグインを追加することで、より魅力的なブログを構築することが出来ます。

コーポレートサイト

企業のコーポレートサイトや行政機関のサイトなどもSOY CMSで構築可能です。

SOY CMSは1つのシステムで複数のサイトを構築・管理できるので、チェーン店や地方に営業所があるような企業で、それぞれの店舗や営業所でサイトの運営をし、それを統合管理するのに向いています。

ECサイト(ネットショップ)

大手ショッピングモールに出店したりECサイト構築パッケージを利用しなくても、SOY CMSであればSOY Shopという拡張機能を使うことで、ネットショップとホームページ両方の運用を同一のアカウントでシームレスに行う事が出来ます。

会員制サイト

SOY CMSは会員制サイトも構築可能です。SOY CMSにSOY Shopといくつかのプラグインを使うことで会員制サイトも実現できてしまいます。

SOY CMSの対象ユーザー

それではSOY CMSでは、どんなユーザーが対象になるのでしょうか?

記事管理者

初心者~

あまりPCに詳しくない初心者でも、多少の学習で記事の投稿はできるようになります。

サイト管理・運営

初心者・中級者~

HTML/CSSが分かり、サイトの構築・カスタマイズができる人。

プラグイン・SOY App開発

中級者・上級者~

PHP等のプログラミングができ、アプリケーション開発の出来る人。

まとめ

SOY CMSは、公式サイトではないですが今もメンテナンスが続けられている息の長いCMSです。

現在(2022年時点)においても、さまざまなサイトで、無料で使えるCMSとして紹介されています。

無料で使えるCMS10選!種類やメリット・デメリットも解説
SOY CMSに対応したシステム開発会社10社
CMS比較5選!簡単に維持管理の出来るCMSはこれ!
デジタル化の窓口
CMSおすすめ18選を比較!導入メリットや選び方をあわせて解説
サイバー攻撃から自社を守る セキュリティに強いCMS比較

SOY CMSはまだまだ可能性を秘めたCMSですので、ちょっと手軽にブログやサイトを作ってみたい、WordPress(ワードプレス)に疲れたので別のCMSを試したい、ネットショップを運営してみたいという方にも使ってもらえるCMSとなっています。